2022年6月3日、小倉將信衆議院議員の主催により、第7回「子どもの健全な成長のための外あそび推進に関する国会議員勉強会」が開催されました。子どもの健全な成長のための外あそびを推進する会のワーキンググループから、第二次政策提言の作成に向けて討議してきた内容の最終報告をし、「デジタルデバイスの適度な利用と外あそびの重要性」「包括的なガイドブックの作成と普及の必要性」の2グループが、議論内容に関する詳細な説明を行いました。
本勉強会の座長である、井上信治衆議院議員による開会の宣言に続き、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ビジョンケア カンパニー プレジデントの森村純氏が挨拶に立ち本日の最終報告の内容をお聞きいただき、国会議員先生方のご意見の下、最終的に第二次政策提言としていきたいと述べました。
まず、早稲田大学の前橋明教授から、8つのワーキンググループの最終とりまとめの報告がありました。子どもの外あそび機会が大幅に減少し、子どもの健全な成長にネガティブな影響を及ぼしている中、子どもの外あそびに必要な空間・仲間・時間(3つの間:サンマ)を取り戻すために必要な、「外あそび空間の整備」「仲間づくりの支援」「時間の確保」の観点から、現在の課題と具体的な要望を説明しました。また、東京、大阪、京都で行った外あそび推進イベントを紹介しました。
続いて、「デジタルデバイスの適度な利用と外あそびの重要性」のワーキンググループから、(福)和修会 つるまち海の風子ども園 保育士の塚本亮太氏が、デジタルデバイスの過度な利用が子どもに与えるネガティブな影響と、それを打ち消す外あそびの効能について説明しました。それを踏まえ、デジタルデバイスの利用に合わせて、外あそびを促進する重要性を訴え、必要な施策に関する提言を述べました。次に、筑波大学の平岡孝浩准教授は、国内外において子どもの近視が深刻化している現状と、外あそびの推奨による子どもの近視抑制に関する海外事例を提示しながら、国家として外あそびの促進を通じて、近視予防に取り組む必要性を訴えました。また、京都ノートルダム女子大学の石井浩子教授より、保護者・保育士・教育者が、デジタルデバイスの適度な利用方法と外あそびの効能について認識することが重要であり、そのために、情報活用能力の育成、安全・安心に端末を取り扱う方法などに関する、国の指針に、外あそびの必要性を加えることを求めました。
最後に、「包括的なガイドブックの作成と普及の必要性」のワーキンググループから、(福)和修会 つるまち海の風子ども園 園長の若林仁子氏が、人材育成のツールとして、「包括的ガイドブック:子どもの成長のための外あそび推進ガイド」を作成し、普及させていくことの必要性を訴え、包括的ガイドブックの具体的な構成や内容、活用法についての提案を発表しました。
報告のあと、質疑応答が行われました。小倉議員より、子どもの外あそびの推進において、自治体・地域など様々な担い手が活動し、好事例もある一方、国レベルではどのような施策を取るべきか、参考となる海外の好事例はあるか、質問がありました。これに対し、平岡准教授は、シンガポールにおける子どもの外あそびを促進する政策を紹介し、外あそび推進の国家プログラムを通じた、子どもの近視予防の重要性を訴えました。さらに、前橋教授は、子どものあそび場の環境整備の現状における課題について、政策による改善の必要性を訴えました。これらの意見に対し、井上議員、小倉議員より、今後、要望の実現可能性について担当省庁による意見を得たうえで、さらに国会議員で議論していくとの回答がありました。
最後に閉会の挨拶として、井上議員は、改めてワーキンググループによる報告を評価し、政治家としてそれらの活動を勉強するだけでなく、要望を実現する思いで取り組んでいきたいと述べ、第7回勉強会が幕を閉じました。