2022年2月16日、小倉將信衆議院議員の主催により、第5回「子どもの健全な成長のための外あそび推進に関する国会議員勉強会」が開催されました。子どもの健全な成長のための外あそびを推進する会(以下、外あそび推進の会)が、2021年10月に立ち上げた8つのワーキンググループのうち、「外あそびをサポートする人材の確保」、「校庭開放の促進」、「園庭利用の促進」に関するワーキンググループが、第2次政策提言作成に向けた議論の中間報告を行いました。また、内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室北山浩士内閣参事官より、こども家庭庁創設の動向について説明がありました。
小倉議員の開会の宣言に続き、本勉強会の座長である井上信治衆議院議員による開会挨拶がありました。こども家庭長設立法案の検討を行う内閣委員会の筆頭座長を務める井上議員は、こども家庭庁は自民党にとって目玉政策であるため、意見やインプットを歓迎すると述べました。
はじめに、内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室の北山浩士内閣参事官より、こども家庭庁創設に向けた動向について説明がありました。北山内閣参事官は、2021年11月に閣議決定された「こども政策の推進に係る有識者会議報告書」および2021年12月に閣議決定された「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」に盛り込まれた、「子どもの居場所作り」という点からも、外あそびが重要であると述べました。また、こども家庭庁設置法案やこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の概要についても説明がありました。
続いて、外あそび推進の会ワーキンググループの中間報告が行われました。まず、早稲田大学の前橋明教授より、ワーキンググループ設立について説明がありました。前橋教授は、本ワーキンググループが、子どもの健全な外あそびに必要な3つの間、サンマ(空間、仲間、時間)を確保し、外あそびを推進することの重要性を提言した、第一次提言(2021年6月提出)を実現するために、何がなされるべきかを詳細に議論する場として立ち上げられたことを述べました。次に、外あそびの環境整備について、株式会社Deportarte Partnersの為末大代表の説明がありました。為末氏は、子どもの健全な成長のためには第3・4の居場所を作っていくことが重要であり、今後、子どもの外あそびをサポートする人材(仮称:外あそび子ども応援団)の確保を通じて、子どもに関わる大人が増えることを期待すると述べました。
そして、特定非営利活動法人放課後NPOアフタースクールの平岩国泰代表理事より、外あそびをサポートする人材の確保の必要性について報告がありました。平岩氏は、第3の居場所としての放課後の外あそび環境整備充実することが重要であり、そのためには、放課後の外あそびを推進・サポートする人材確保と育成が必要であると述べました。続いて、小平市立小平第十二小学校の板口真吾主任教諭から、安全な放課後の居場所としての校庭開放の促進について発表がありました。発表では、校庭は放課後の居場所としておおいに利用されるべきであるものの、実際には個人開放や自由開放はほぼ行われていない現状が提示されました。その理由として、校庭開放の見守り人材の確保が困難であること、子どもが外でのあそび方を知らないこと、そして校庭が地域スポーツクラブや地域住民の利用に占められていることが挙げられました。自由開放の促進には、予算の拡充を通じて見守り人材が確保され、地域による利用と自由開放とのバランスを調整する必要があることが強調されました。最後に、認定こども園文の里幼稚園の野村卓哉副園長より、園庭開放の促進について、発表がありました。園庭は低年齢の子どもが安心・安全に遊べる環境であり、また子育て支援の場(子育て相談やコミュニケーションの場)としても重要であることが述べられました。
各登壇者の発表後、参加者全員による質疑応答・意見交換が行われました。 「自民党学童保育(放課後児童クラブ)推進議員の会」に所属する笹川博義議員からは、園庭と校庭には構造上の問題、公園の遊具の維持費の問題、あるとの指摘がありました。笹川議員の指摘に対し、板口先生は、構造上問題を踏まえ、開放にあたり、利用対象者の安全を確保するためにも、見守り人材配置の必要性を強調しました。続いて、野村先生は、園庭について、遊具の安全管理には、また遊具を熟知した人材の配置が必要であることを強調しました。田野瀬太道衆議院議員からは、外あそび推進の要望事項を国・自治体レベルで分けていく必要があるとの指摘がありました。また、小倉まさのぶ議員は、外あそびの環境確保には国全体の支援のほか、各自治体で進められるようなモデル事業を作ることが望ましいと述べました。
最後に井上議員が、閉会の挨拶として、国において予算・規制面の手当てを実施しながら、現場レベルでの検討や取り組みの継続が必要であると述べ、第5回勉強会が幕を閉じました。
出席者
国会議員(順不同)
- 井上 信治衆議院議員(座長)
- 上野 賢一郎衆議院議員(副座長)
- 笹川 博義自由民主党副幹事長
- 田畑 裕明総務副大臣
- 田野瀬 太道衆議院議員
- 穂坂 泰環境大臣政務官、内閣府大臣政務官
- 小倉 將信衆議院議員(事務局)
省庁出席者
【内閣官房】
- こども家庭庁設置法案等準備室内閣参事官北山浩士
【内閣府】
- 子ども・子育て本部(認定こども園担当)参事官補佐岡部陽一
【文部科学省】
- スポーツ庁 健康スポーツ課 長小沼宏治
- 総合教育政策局 地域学習推進課 地域学校協働活動推進室長 郷家康徳
- スポーツ庁 参事官(地域振興担当)付 参事官補佐 守谷修他
- 随行1名
【厚生労働省】
- 子ども家庭局 総務課 少子化総合対策室 室長補佐 原沢恵
- 子ども家庭局 保育課 保育指導専門官 高辻千恵
- 子ども家庭局 子育て支援課 健全育成推進室 児童健全育成専門官 阿南健太郎